監督は「007慰めの報酬」などで知られるマーク・フォースター。脚本は「カールじいさんの空飛ぶ家」「スポットライト」のトム・マッカーシー。そして、主演は言わずと知れた、ユアンマクレガー。こんなの売れねえわけねえだろ!!!
先日、近くの映画館に見に行きました。
客入りはそこそこといった感じ。
やっぱり、お子さん連れの人が多かったですね。
・批評に入る前に
「クマのプーさん」について、少し紹介。
作者A・Aミルンは作家だったが、第一次世界対戦に徴兵され、激戦地に飛ばされ、そこで地獄を見る。這々の体でなんとか帰国したが、PTSDを患い、ロンドンでの都会生活に嫌気がさす。そこで、執筆生活に集中するために、イギリスの田舎の森を購入して引っ越すも、都会暮らしが好きな奥さんは家を出ていってしまい、残されたのは、A・Aミルンと幼い息子、クリストファーロビン。
A・Aミルンはクリストファーロビンをあやす為に息子のお気に入りのテディベア「プー」を主人公に自分達が住んでいる森を舞台のおとぎ話を作る。
これが、「くまのプーさん」である。
ちなみに、今でもモデルになったぬいぐるみは博物館に保存されている。
ひっでえ映画だったよ。マジで。面白くないわけじゃない、むしろめちゃくちゃ面白かった。だからこそ、ひどかった。
起:大人になったクリストファーロビン
承:プーとの再会
転:ロビンの娘とプー達の冒険
結:プレゼンの成功。家族の幸せを勝ち取る
と言うかのが、乱暴ですが、一連のプロットですね。
起で描かれるクリストファーロビンが辛かった。朝から晩まで仕事して、やな上司にいびられて、もともと家族とか大事なものの為に仕事してたのに、いつのまにか仕事の為に仕事してる。ここら辺の描かれ方が上手くて、かなり心にくる。社会人でここで辛くならない人いる?
そう言う、辛い展開があったからこそ、承でのプーさんとの再会が映えるんだよね。
二人のやりとりは微笑ましいし、なによりも子供の心を取り戻していくクリストファーロビンに涙。
丘でのクリストファーロビンの独白のシーンで俺は泣いた。あの頃には戻れない、自分で自分が分からなくなってしまった。
俺、仕事辞めよっかな〜と一瞬考えたよ笑
さぁ、ここからが問題なのだ。
・ご都合主義にうんざり
転結で、クリストファーロビンの忘れ物を娘とプー達が届けに行くシーンなんだけど、ふつうに面白い。プー達超可愛いし、娘も可愛いし、その上で、クリストファーロビンがプーの言葉から新アイディアを考えついて、なんとかプレゼンも乗り切り、幸せ、幸せ、めでたしめでたし。
って、めでたくねえよ。
めでたくないんだよ。見てた側の俺らは。
散々、前半でリアルな辛いシーンを見せられて、後半はいきなり映画的なご都合主義展開の連続で結局、「はい、全部上手くいきました!」って、なんか置いてけぼりにされた感覚になりましたよね。
例えば、クリストファーロビンが、家族との時間を大事にしたいから出世コースから外れるとか、転職するとかならまだ分かる。
現実を前半でこれでもか!と描いておいて、後半は現実からドンドン乖離していくところに納得できなかった。
(まあ、プーさんが出てくる時点でリアルとは?って感じなんだけど)
そもそも、くまのプーさん自体、子供をあやす為の虚構だったのに、結局、その虚構であるプーさん達とこれからも仲良く…ってただの逃避なんじゃない?とか思っちゃいました。
総評
プーさん可愛い!!!!
結局そこに集約される。もう、なんか、動くプーさん達見れて、もう、結局、満足だったよ!!!!