週末、飲み会の用事が重なりかなりグロッキーです…
明日も飲み会…
とは言うもののですよ、やはり、週末と言えば映画鑑賞!!!
これだけは外せません。
さて今日見たのは…
ドイツで相当な物議を醸し出したと噂の、
帰ってきたって聞くとね、俺はウルトラマンの方を思い出します。
いやー、余談なのですが、幼少期、母の車内には「ウルトラマンop集」と言うカセットテープがあって、よく歌を聴かせてもらってたもんです。
ちなみに、当時の母の車は「トヨタ・ターセル」時代感じますねぇ〜…
さてさて、この「帰ってきたヒトラー」なのですが、非常に興味深い映画でした。
今日は、帰ってきたヒトラーの感想をツラツラと書いていきます。
・あらすじ
2014年、公園で1人の男が目を覚ます。
彼はなんと、あのナチスを率いた「アドルフ・ヒトラー」その人。彼は神の悪戯か、現在にタイムスリップしていたのであった…
世界の変わりように驚くヒトラー。
そんな彼のことを映画監督志望の売れない映像マンの若者が見つけ出す。
若者はヒトラーをヒトラーのそっくりさんとして世間に売り出していくが…
・セミドキュメンタリー
若者とヒトラーは小さな車でドイツ中を巡り、さまざまな人々の不平不満を聞いていき、その様をカメラに収めていくシーンがある。
なんと、ヒトラー役の俳優さんは役作りのために実際にヒトラーの格好をして、街中を歩き、人々の意見を「ヒトラーとして」聞いて回ったそうだ。
そして、実際にネオナチの人々とバーに行き、そこで語り合ったそうな…
しかもその姿はそのまま映画の中で使われている…
このことを見てから知ったんですけど、ふつうにヤバくないですか?
ヒトラーの格好した男とネオナチって組み合わせが悪すぎる。
このように、帰ってきたヒトラーはほとんど、セミドキュメンタリーとしての側面も持っているんですね。
・笑えるギリギリブラックジョーク
この作品、前半はほとんどコメディ。
ヒトラーと若者の珍道中を面白おかしく描いているロードムービーだ。
未来のドイツにいちいち驚くヒトラーが可愛く見える。
パントマイムに道を聞くヒトラー。この後、邪魔するなとブチ切れられる。
若者はヒトラーをテレビに売り出していく。
(こことかまるでゲッペルスみたいですね)
テレビで扇動的な発言を繰り返すヒトラーを国民は肯定的な態度で迎え受けていく。
また、テレビマン達がゲスばっかで笑える。
国際問題ギリギリのブラックジョークも多く、笑えるかどうか非常に怪しいラインのギャグが秀逸
これはひとえにヒトラー役の俳優さんの迫真の演技が凄い。本当に笑えるところは笑えるし、演説シーンは力強く、聞いていると納得してしまう。
ヒトラーと若者のやりとりも笑える。
なんだか、見ていると、ヒトラーってそこまで悪いやつじゃなくて、愛すべきところもある抜けたおっさんなんじゃね?とか思えてくる。
・後半は一気にホラーテイスト
後半、ユダヤ人のお婆ちゃんの家にヒトラーが行くシーンがある。
ユダヤ人のお婆ちゃんはもうお歳をめしていて認知症なのだが、ヒトラーを見た瞬間、目を見開き
「出て行けー!!!」
と大声で叫ぶ、
周りの若者達は、
「これはそっくりさん、ギャグなの、笑えばいいんだよ」
と言うが、お婆ちゃんは
「昔も最初はみんな笑ってたよ…でもね、大勢死んだんだ!!!」
と続ける。
ここで、ハッと気がつくのだ。
ヒトラーは面白いおじさんではなく、世紀の独裁者でホロコーストを引き起こした張本人であることに
そんなこと、見る前から知っていたが、映画を見ていくうちにヒトラーに肩入れしていた自分にゾッとした。
笑える映画が笑えない映画に様変わりしていく…
映画の中のヒトラーは、歴史を繰り返そうとしていたのだ。
・右に向かっている社会
若者はヒトラーがそっくりさんではなく、本物のヒトラーであることに気づき、暗殺を企て、ビルの屋上にヒトラーを追い詰める。
その時、ヒトラーがこう言うのだ
「私が死ぬことはない、私は人々の一部だからだ」
そして、エンディング、若者はヒトラー暗殺に失敗。精神病院に入れられる。
そして、ヒトラーはオープンカーに乗り、ドイツの街を走っていく、
女性ボーカルの曲をバックにエンドクレジットが流れる。
しかし、これで終わりではなかった。
画面が歪み、実際のニュース映像が流れる。
それは反移民デモの実際の映像だ。
あの、最初の方で市民の不平不満を聞いて回ったって書いたでしょ、その時の不満の大半が移民に対する不満だったんですよ。
つまりね、これは、ヒトラーが帰ってこずとも、排他的な考え(ヒトラー的な考え)は今も誰の心にも根付いていているんだよ。
って話じゃないですか、そこが非常に考えさせられた。
・総論
最初は笑えるが、最後は笑えない作りに非常に感心させられた。
そして、ヒトラー的な考えは別に特別なものではなく、実は心の底では誰もが望んでいて、だからこそ、大衆はヒトラーを受け入れていくと言う構造は見ている視聴者にも共犯意識を芽生えさせる。
現在のドイツの移民問題を絡めてくるところにもなかなか風刺が効いていてインパクト大でした。
いやー、今の世論って右派優勢な気がするんですよ。
さらに言うと、アメリカではトランプ大統領の当選を機に、右派を求めるサイレントマジョリティの存在が浮き彫りになりつつあるわけで。
超個人的な意見ですけど、俺は右も左も別に悪い考えとは思わないんですよ。
ただ、どちらかに極端に偏ることはとても危険だと思います。これは非常にマズイ。
それに対して警鐘を鳴らすことがこの映画の目的なのでしょう。
追記
実際にヒトラー役を演じた俳優さんのインタビューがかなり面白かったです。
よろしければどうぞ