そろそろ学園祭のシーズンだね!!!
母校の学園祭が明日からって事を後輩のインスタで知りましたよ。
皆さん、大学の時学祭行きました?
え、僕?僕は
あんなゴミクソイベント誰が行くか、このハゲ!!!
まずね、時期が悪い。ハロウィンが近いからへんてこりんなコスプレをした馬鹿が湧くんですわ。
しかも、笑えるコスプレならいいんですけど、陽キャどもがクソしょーもないホストみたいな格好して歩き回るんですわ。
特にしょーもないと思ったのは、スーツ着て、ガッツリ髪の毛整えてる奴ら。
お前ら、なんで数年もしたら毎日着ることになるスーツを今着る?馬鹿か。
そんで、次に嫌いなのはクソみたいな内輪じみた空気。ああいうのってやる方は楽しいんやろうけど、行く方はクソつまらんで。
なんやの?なんで僕が君らが作った低レベルな玉せんに500円払わなあかんの?
でも、1番嫌いなのは、目をキラキラとさせて青春を謳歌している若者ども!!!
クラピカみたいにお前らの目ん玉集めたんどオラぁ!!!
と言うわけで大学生の頃はまったく学園祭と縁のなかった僕ですが、ある年の学園祭に図らずも行ったことがあります。
友人が「ドゥフフフ…学園祭に行きませうぞ!」と言ってきたからだ。
友人はコミュ症&オタク&ムッツリスケベなのだが、柄にもなくああ言う楽しい雰囲気を楽しみたくなったのだと。
俺は、学園祭の危険性についてとうとうと説いた。
「まてまて、あれは一見楽しそうに見えるけど、我々のような陰キャにとっては毒ぞ、腐海だぞ」
俺がそう言っても、友達は止まらなかった。
太陽を目指して飛んだイカロスはその羽を太陽に焼かれたというのに、21世紀の日本でもイカロスの悲劇は繰り返されようとしていた。
かくして、我々は学園祭に行ったのだが、やはり…というか、当たり前なのだが楽しめなかった。
学園祭の運営側というのは、ほとんどシャブ打ってる奴みたいなもんだ。学園祭と言う毒を胸いっぱいに吸って、頭がおかしくなっている。テンションがヤバイ。なぜ、俺たちがフランクフルトを買っただけで叫ぶのだろう。やめて欲しい。
我々はどっと疲れて、ベンチに座った。
友人の顔は疲弊しきっていた。
なんとかしなければ…彼の中で学園祭をこのまま終わらせてなるものか、僕は手を打った
「はい、学園祭はここまで!!これからウラ学園祭を回りまーす」
そう言って、俺は友人の手を引き、校舎の中に引きずり込んだ。
向かったのは、後者の裏の裏のカビが生えそうなほどの寂れた場所でイベントをしていた
「同人誌サークルスペース」だ!!!
そこには、見るからに臭そうなデブとメガネとハゲと、コスプレしたブスしかいなかった。
その空間は実家のように俺たちを優しく包み込んでくれた。
同人誌サークルのやつらが書いた微妙なレベルの漫画とイラストを端から端まで見る。
友達「この人の絵、なぱたに少し似てない?」
(なぱた:人気エロ漫画家)
僕「わかる。エロい絵はないのかな?」
いつのまにか友人の顔に生気が戻っていた。
「さて、では次は、鉄道研究会ブースに行きまーす!!!」
さて、皆さんお気づ気でしょうか、そうウラ学祭とは…
地味で暗そうなサークルを回ることだ!!!
鉄道研究会は意外なまでにクオリティが高かった。
鉄研自慢の電車のミニチュアがリアルなジオラマの中を駆け抜けて行く。
見ているとなかなか感動した。
鉄道研究会の奴らはもちろん男しかいないし、チェックのシャツだし、なによりも俺たち客が入ってきたのに、自分たちが電車に夢中でそもそも俺たちが入ってきた事にすら気づいていなかった。
次に向かったのが手芸部。
簡単アクセサリーを作れるとのことだが、気になるのはどのくらいの時間で作れるのかだ。
「これ一つどれくらいの時間で作れます?」
「うーん…大体2時間くらいですかね」
舐めてんのか
よくそのイベントで学園祭に挑もうと思ったな。丁重に断って次のブースへと向かった。
次は天体観測サークルによるプラネタリウム体験。
俺たちが教室に入れば、謎の半球が設置されていた。俺たちはそこに押し込められた。
なるほど、この中で座って星を見るんですね。
きっとしばらくすれば、部屋の明かりが消えて、半球の内側には、星が出てくるのだろう。
しかし、寝ても覚めても部屋が暗くならないし、星が出てくる様子はない。
これではただただ、半球の中に軟禁されただけである。
「あのー、これっていつ…」と俺は声をかける。返事はない。
「あのー…」何度も声をかけるが返事はない。
外に出ると天体観測サークルの部員はいなくなっていた。教室の外に出て周りを見渡しても誰もいなかった。
彼らが消えた原因は未だに分からない。
しかし、行方不明者が出たとは聞かなかったのできっとどこかで元気にやっていることだろう。
お次に向かったのは「植物愛好会」
ガラガラと教室のドアを開ければ、机の上で寝ている学生が1人いるのみ。
彼は上体を起こしてこちらを見た。目があった瞬間に俺は反射的にドアを閉めてしまった。
結局、植物愛好会の教室には入らなかった。
俺たちは、外に出た。ラーメンの出店があったのでそこで夕飯を食べた。あんまり美味しくなかった。
俺たちは、出店ラーメンの悪口をむちゃくちゃに言いながら、お口直しにとマックに行ってハンバーガーを食べた。
「同じくらいのお金払って、味のクオリティがここまで違うとは…マックってやっぱすげえな」
友人が言って俺は笑った。
今思うと、学園祭って言う場所に集う奴らってのは本当にそれぞれいろんな奴らがいる。
楽しんでるやつ、楽しんでるフリをしてるやつ、楽しめてないやつ、どうでもいいやつ…
でも、きっと、どんな感情であれ、それは数年経ったら思い出になってしまうのだ。
俺は友人と回ったウラ学園祭のゴミクソな思い出も今では楽しい笑い話になった。
今年は久し振りに学園祭に行こうかな。