別れというものは本当になぜ毎回こうも唐突なのかと思う。今日もそれを痛感した。
マジで偶然、sixdogの閉店を知った。
sixdogってのは名古屋は新栄にある小さいライブハウス。楽屋なんてクッソ狭い物置みたいで、演者が楽器を置いたらそれだけでもう足の踏み場はないって感じだった。
いつも金のない学生たちで溢れてるようなライブハウスだった。そして、金がない学生だった俺が7年前始めてライブをしたライブハウスだった。
当時のことはよく覚えている。俺は大学に入ったばっかりで、ギターもオープンコードが何個か抑えれるかってくらいの初心者もいいところ(今もあんまりギターは上手くなってない)
大学のバンドイベントだった。フロアは大学生で満員。出番が回ってくるまで狭い楽屋でギターの練習してた。
ライブの出来は散々だったけれど、それでも人前で演奏するのはメチャクチャに楽しかった。
テンション上がりすぎてAメロでダイブした。
客にもみくちゃにされてステージに戻れず、サビが歌えなかった。
俺たちは3曲しかその時持ち曲がなかったから僅か15分程度の出番だったけれど、それでもライブの魔力に取り憑かれるには十分過ぎる時間だった。
俺みたいにsixdogでライブ童貞を卒業した奴らはきっと何百人って規模でいるに違いない。
sixdogには客としても何度も足を運んだ。薄暗い階段を何度も降りてsixdogに向かった。
正直、演者としてよりも友達のライブを見に行くことの方が多かった。sixdogに行って仲間とライブを見たり、話したり、飲んだくれたりしたことは俺の大事な思い出だ。
初ライブからしばらく経って本格的にバンドを始めて、バンド仲間が何人も出来た。仲間で集まって話をするとき、たまに話題に上がるのがライブハウスについてだ。「あそこは音響がどうだ」「あそこは楽屋がどう」「あそこは打ち上げがキツイ」
みんな好き勝手言っていたが、sixdogの悪口は聞いたことがなかった。
きっと、それは、sixdogがあったかいライブハウスだったからだろう。いい噂はよく聞いた。
面倒をよく見てくれるいいライブハウスだったそうだ。
それから数年経って、俺はバンドをセミリタイアして普通に働きだした。
会社行って、しこって、寝るだけの日々。
ギターの弦なんていったいいつから変えてないだろうか?
そんな日々の中でsixdogの閉店を知った。
sixdogが入っているビルの老朽化に伴い閉店だそうだ。
もう行くことはなくなったけれども、きっといつまでもそこに在り続けるだろうなと思っていたものがなくなるのは、とても勝手な感想だとはわかっているけれども、寂しいものだ。
思い出をありがとう。