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手紙は覚えている。爺は何も覚えていない「手紙は覚えている」(ネタバレ感想)

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いや、傑作かよ。

 

いやー…開幕、傑作が出ましたね

 

ほんと、最近見た映画の中ではナンバーワンの面白さでした。

 

・ストーリー

主人公、セブは老人ホームで生活している90歳。奥さんが死んでからと言うもの認知症も進んでいた。

そんなある日、老人ホームで知り合った友人マックスから手紙を渡される。

 

「君は覚えてないかもしれないが、君はたしかに誓った。この手紙に書かれていることを実行してくれ」

 

手紙の内容はこうだ。

セブもマックスもユダヤ人であり、戦時中、アウシュビッツで家族が皆殺しにされた。

当時、家族を殺したナチは身分を変え、今も普通に生活をしている。

そのナチの名前は何とか特定したが、同姓同名の人物が4人いる。

私の身体は自由が効かなくなってきている。

代わりにそいつを探し出して殺してほしい。

お互いのため、復讐を果たそう

 

そして、セブは手紙を持ち、一人アメリカを飛び回り、復讐を遂げようとするのであった。

 

・意外な犯人

これ、普通のヒューマンドラマなのかと思ったら、バチバチのサスペンス映画だった。

 

爺さんは認知症だから、寝て起きたら自分が何故旅しているのか分からなくなるし、そんな奴が銃買って復讐のため仇を探すって、これは昨今の日本で問題なっている老人のひき逃げ事件なんて目じゃねえくらい危険事態。早く免許証返納しろ。

しかも、実際に爺さん作中で人殺しちゃうし、ションベン漏らしちゃうし、マジでこの爺さんやべえって!!!ムーブが予測不可能!!

 

紆余曲折の果てについにセブはナチスの残党を見つけ出します。彼もまたセブと同じく、年老いていました。

もう過去のことじゃないか

彼は悪びれる様子もなくそう言います。

怒り心頭のセブは彼の孫娘に銃を突きつけ、

「言え、本当のことを!お前が何をしたのかを!」

と脅します。

そこで、ナチの残党は遂に膝を折り、自らがナチス政権下で虐殺に加担していた過去を白状します。しかし、彼の本名はセブが探していた男ではありませんでした。

「この期に及んで嘘をつくのか!」

セブは怒鳴り、銃を更に深く彼に突きつけます。

「そうだ、だってその名前はお前の本名だろ?」

 

二人はナチスの軍人でかつて共にアウシュビッツを管理していた同僚だったのです。

そう、この身分を変えて潜伏していたナチってのは自分だったってオチなんですね

 

マックスは自分が入っている老人ホームに偶然憎っくき家族の仇が入居してきたわけです。

しかし、肝心の相手は認知症で最早過去の記憶がとても曖昧だった。

そこで、彼の記憶を呼び起こさせる為に、手紙を渡し旅に出させるわけです。

 

(ちなみに、セブはナチスだったんですけれど、ナチス政権転覆の際に、アウシュビッツの死亡者の身分を掠め取り、アメリカで堂々と生きていたのです)

 

このまさかのドンデン返しに震えなかった視聴者はいないのではないでしょうか?

 

 

・戦争はまだ続くのか

戦争が終わり、もう、70年以上経ちましたが、未だに元ナチス軍人への裁判は続いていると聞きます。

 

物語のラスト、セブは全てを思い出します。

自分はユダヤ人ではなく、ナチス軍人だったこと、セブと言うか名前も自分でつけたこと(意味は狼。ナチス軍の部隊「ヴァアヴォルフ(狼男)」からつけたのかな?)

 

全てを思い出したセブは目の前の自分の元同僚を撃ち殺した後、自らも銃で自殺をします。

 

二人の老人が死んだニュースを老人ホームで見るマックス。

周りの人は

「かわいそうにセブ、何も知らないだろうに」

と彼の死を嘆きますが、マックスだけは

「いや、彼は全て分かっていた」

そう言った後、カメラはマックスの部屋を写します。マックスの机の上にはセブの若い頃の写真、ナチスの軍服を着ている白黒写真がアップになり、マックスの復讐が果たされ終了です。

 

セブも既に90歳を超えており、ぶっちゃけほっときゃ死ぬ年齢です。

しかし、それでも、セブ絶対殺すマンのマックスの執念たるや。

時間が経ったとかそんなの関係ねえ。

今でも、老人たちの中で戦争は続いていたのでした。