シンゴジラってちゃんと見たことなかったんだけど、自分、今回(2018/12/16)のテレビ放映で初めてちゃんと見ました。
まず、見ていてなによりも思ったのは
ゴジラが怖い。
と言うのも、この映画、官僚である長谷川博己を中心に描かれており、とかくゴジラに対する対応やら社会の反応やらがえらくリアルなのである。
まあ、官僚がどーとか俺にはよく分からんが、組織ってこんなんだよなー!!!って思わせるシーンがめちゃんこある。
自分もそこそこ大きな会社で働かせてもらってるんだけど、大きな組織というのは、とにかく体面とトップの顔色と言うのをめちゃんこ気にするのだ。
俺みたいなクソ雑魚若手ですらそう思っているのだから、もっと上の人達は更に強くそう言ったことを思っていることだろう。
そういう組織の中で大きなトラブルが起こったとなると組織が大きい故に対応が後手に回るとかあるあるだよなぁ…なんて思った。
ようは、主人公目線というのが組織の中で生きる俺たちとかなり近い、こんな俺らカッコよくないけど、トラブル起こったら、もう、昼飯やら残業やら度外視で働くしかない、そんな時、己を突き動かしているのは小さな利害ではなく、ただ、ただ、組織の人間としての使命感である。
だからこそ、俺たちはシンパシーを感じざるを得ず、
長谷川さん!!!頑張れ!!!
と我々は応援せざるを得ないのだ。
では、ゴジラとは?
この作品で描かれるゴジラは巨大生物としてよりも大災害のメタファーである。
もっと言うと、見ていて多くの人が思っただろうけど、あれって多分、「3.11」だよね?
あの日は今を生きる日本人なら誰もが忘れることができない出来事だろう。
俺は、その日、図書館で受験勉強していて、あ、なんか揺れたな…と思った。そして、家に帰ると母が「あんた、ちょっと、えらいことになっとるで」とテレビの前にひっぱられた。
もう、冗談みたいな光景だった。街が黒い濁流に飲み込まれていく様は「衝撃」なんて一言では済ますことができない。
本作で描かれるゴジラはまさにあの時を追体験しているようだった。
冗談みたいなものが俺たちの生活を飲み込んでいく姿(特に、序盤、車を押し倒しながら進むゴジラは津波であった)はまさに3.11だった。
俺はゴジラの熱心なファンではないけれど、それでも何作か見てきた。その何作かを俺は普通のパニックムービーとして楽しんでいたけれど、正直、今回は怖くて楽しんでいる余裕はあまりなかった。
何と言っても空爆後のゴジラの咆哮、あれは怖すぎだろ。文明の利器が全く通用しない、無常感、そして、あっさりと死ぬ登場人物に呆然とした。
そして、ラスト、ゴジラの口の中に凝固材をぶち込むシーンは原発だよね。
この映画は大規模な災害が都心を襲ったら?と言う裏テーマがありありと見える。
実は、公開当時、同じような印象を受けた映画がある。それは「君の名は」である。
君の名は、隕石落下による街の消滅と言う、これまた3.11のメタファーを物語の中盤にぶち込まれている。そして、それを少年と少女の愛が救うと言うある種の幻想、もとい妄想を描いてもらった。それで、想像の中でだけでも俺は救われた気持ちになった。
今作でゴジラと言うメタファーから世界を救うのは官僚と言う、THE組織の人間たちである。
つまり、THE組織の人間である俺たちなのである!!!
だから、シンゴジラはヒットしたのではないでしょうか?
はい、これまでずっと褒めてきましたが、
俺、実はこの映画、そこまでハマんなかったんすよ…
緊張感と臨場感を出すためか、カットがめちゃ入るし、登場人物もめちゃでてくるし、実はこの映画、先に書いたように組織を描いているわけで、ダイナミズムはなく、ほとんど会話劇です。
その会話劇も特に面白くない。
あと、なんか、登場人物全員カッコつけ過ぎてて鼻につく。
裏でやってた「ドラゴンボールz復活のF」の真逆のようなお話でしたね。
とは言うものの、ラストのヤシオリ作戦には胸が熱くなりましたよ。
あれこそ、俺たちvsゴジラだろ。
人間舐めんなよ!!!
と叫びたくなった笑
いろいろ書いたけど、結局、俺の感性と合わなかったってだけで、この映画は近年の邦画業界の中で大傑作であることは間違いないし、それに、ゴジラを3.11のメタファーと書きましたが、それ以外の見方もできると思うんですよ。
例えば、クソめんど臭い取引先とか、超大事なコンペとか、そして、我々社会人はそんなゴジラ達と長谷川さんみたいに戦わないとダメなんですよね。
明日、もしかすると、あなたのところにもゴジラが来るかも!?