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最強格闘家になろう 第二十三話「龍虎相対する」

キャットファイト (Catfight) は、女性同士の取っ組み合いの喧嘩またはそれを見せる興行のこと。

女性同士の喧嘩に性的嗜好を向ける者は存在するため、キャットファイトを見せる興行も存在し、ポルノやアダルトビデオのジャンルともなっている。また、女同士の素手の戦いを見せるエンターテイメント性の高い格闘技の興行試合として行われることもある。

Wikipediaより抜粋

 

アメリカ最大手のプロレス団体、WWDではディーヴァと呼ばれる女性達がセクシーな衣装に身を包み、キャットファイトを行なっており、全米で人気を博している。

そのディーヴァ達の頂点に30年間立ち続ける日本人がいる。

 

大晦日の数ヶ月前、アメリカのとあるホールでWWDの試合が行われていた。

観客は超満員。そして、メインイベントを飾るのはいつもと同じ、日本人のこの男…

花道にこの男が現れた瞬間、観客が熱狂する。

皆、叫び、歌い、崇めた。

その男がリングの上に立ち、片手をあげる。

瞬間、観客はひとつになった。

世界最強の男、世界最強のキャットファイター

その男の名は猫田戦!!!

 

 

 

大晦日、観客席に矢吹晴男はいた。

先ほどまで隣にいた加賀七明は既にいない。

彼が言った言葉を矢吹晴男は反芻していた。

加賀一族の仇敵…師匠達の敵…一体、その正体は…

「晴男さん」

後ろから声がし、見れば第二試合を突破した真島浩高がいた。

真島の顔は試合で受けた傷で痛々しかった。

右目は腫れ上がり、鼻には絆創膏を貼っている。

「久しぶりだな、ヒロ、傷は大丈夫なのか?」

「こんなの傷のうちに入らないっすよ」

そう言って笑うと、真島は晴男の隣に座った。

2人はしばらく言葉を交わさず、試合場のマットをぼんやりと眺めていた。

久しぶりの師弟の再会である。

沈黙を晴男が破った。

「いよいよ、俺の前に立つまで成長したな…」

「今日、俺は晴男さんを超えます」

真島は確信に満ちた声でそう言った。

真島にとって、晴男は恩人であり、師匠だ。

彼の恩に報いる唯一の方法は彼を超えること。

それこそが我が師匠に送れる最大のプレゼントだと真島は確信している。

 

「安心しろ…お前のことを止めてやるからな」

晴男は心にそう固く誓った。

晴男は真島が武術の闇に落ちているのではないかと疑っている。

そして、その闇から救えるのは自分しかいないと考えている。

その顛末について、詳しくは第7話を読んで欲しい。

 

真島は純粋に晴男のことを慕っているが、晴男は真島の心にあるはずの無い闇を感じている。

 

2人のこの微妙な心の食い違いが後に大きな悲劇を起こすことになるとは、誰も知らなかった。

 

「ヒロ、今からの試合、見逃すなよ。今回の優勝候補が来るぞ…」

 

 

第四試合藤浪ドラゴン対猫田戦!!!

 

猫田戦、齢65歳。身長160センチ、体重50キロ

一見、ただの小柄な老人である。

しわくちゃの顔、弛んだ皮膚に包まれた身体は黒いブーメランパンツのみを身につけていた。

 

一方、藤浪ドラゴンは相変わらず藤波辰爾そっくりの見た目、黒い筋肉に身を包み、鋭い眼光は真っ直ぐに猫田戦を見据えている。

 

藤浪ドラゴン。アメリカ発祥のマーシャルアーツ、ドラゴンカーセックス(知らない人はお母さんに聞いてみよう!)の使い手である。

日本のドラゴンカーセックスの使い手達は皆、ドラゴンの名を冠している。

その頂点に立つ男こそ、藤浪ドラゴンである。

彼は別名、日本最強の男と言われている。

 

今マットの上に立つ2人の男。

最強と呼ばれる2人の男。

しかし、頂点は常にひとつ。

そのひとつの座をめぐり、今2人は激突する。

 

時間いっぱい。試合開始のゴングがなった!!

 

ゴングと同時に藤浪ドラゴンの身体が美しい弧を描き、飛び上がった。

身体は真っ直ぐに、猫田戦の身体にぶち刺ささる。

藤浪の必殺技のひとつ、ドラゴンロケットである。

猫田は堪らず後ろに吹き飛ぶ、もんどりうって倒れた猫田を藤浪はたくましい腕で無理やり抱き起こし、その弱々しい背中を抱え、自分の体ごと、後方に叩きつけた。

猫田の後頭部がマットに突き刺さる。

ドラゴンスープレックスである。

 

藤浪の背中がまた美しく反り返っている。

猫田は動くことができない。

藤浪は両手を離し、立ち上がり、猫田を見下ろした。

猫田はまだ動くことができない。

その足は高く空に突き上がっている。

丸められた背中を頼りなくマットに預けている。

「おいおい、死んだのか…?」

「あんな老人にこんなことしちゃダメだろ…」

観客がざわめく。

 

「起きろ、この狸じじい…」

藤浪ドラゴンの冷たい声が会場に響く。

 

「え、いや、どういうこと?」

「猫田は死んだんじゃないの?」

「違う、見てみろ!!!あの体勢!!!」

観客の1人がはたと気がついた。

 

猫田は起きないのではない、見せつけているのだ。猫田の姿勢、これはチングリ返しである。

猫田は自分の膨れ上がった秘部を観客に見せつけていたのであった。

これぞ、デンジャラスとセクシーが共存するキャットファイトの真髄である。

 

「お、バレたか」

猫田が飄々とした口調で話す。

軽く身を起こし、立ち上がった。

「一撃目から全く手応えがなかったからな」

猫田は藤浪の攻撃を全て軽くいなしていたのである。30年間キャットファイトをしてきた男は受け身の達人でもあった。

 

2人は再び向かい合った。

「どうするんじゃ、若いの、お前さんの攻撃は全く効いとらんがの」

猫田は笑いながら言う。

「安心しろ、さっき使った技は人に使う技だ。今から使う技は全部車に使う技だ…お前、廃車にしてやるよ」

藤浪がそう言う。

「キャットファイトも極めれば虎となるんじゃぞ…」

 

龍と虎は再び向かい合った。