有限会社MUGEN本舗

ゲーム、バンド、漫画、映画、小説、なんでもブログ

ガース・エニスの最高傑作、アメコミ漫画「ヒットマン」を徹底紹介

2020/1/23

f:id:yuugentmugen:20200122232556j:image

昨年(2019年)に大ヒットを飛ばしたamazonプライムビデオの傑作ドラマ「the boys 」皆さんご覧になりましたか?めちゃくちゃ面白かったですよね!!!

f:id:yuugentmugen:20200122232618j:image

もしもスーパーヒーロー達がクズだったら?と言うコンセプトの元、薬漬け、セクハラしまくり、サイコパスなどダメダメなスーパーヒーローとそのスーパーヒーロー達に復讐を誓った男たち、the boysとの死闘?を描く作品でしたね。

f:id:yuugentmugen:20200122232637j:image

ちなみに、俺はアクアマンもどきの「ディープ」が一番好きなんです。

ディープ最初はセクハラクソ野郎だったのに、どんどん笑えるキャラになっていくのが泣ける…

 

 

さてさて「the boys 」の原作がアメコミと聞き、早速書店に行ったのですが、見て驚いた。

原作者ガースエニスじゃねえか。ガースエニスと言えば、アメコミ会のレジェンド作者である。こりゃ面白いはずだ。

 

俺がガースエニスで一番大好きなのガースエニス最高傑作と名高い「ヒットマン」である。

これは紹介せねばと言う謎の使命感に駆られ、こうして筆をとっております。

 

 

ヒットマンとは?

現在日本でも全6巻で発売されているガースエニス脚本、ジョンマクリア作画の超ハードボイルドアメコミである。

縦断と血とビールとタバコ。これがヒットマンの全てである。

物語は超治安の悪い街ゴッサムシティの中でも超治安の悪い地区コルドロンが舞台。

コルドロンに住む殺し屋(チンピラ)のトミーモナハンは宇宙吸血鬼に襲われて以来、透視能力と読心術を身につけた。彼はその力を使って超能力者(メタヒューマン)専門の殺し屋家業を始める。別にヒーローでもないし正義の味方でもないトミーが自分のプライドと飲み仲間の為に戦いまくるコメディハードボイルドアメコミである。

 

 

・登場人物

f:id:yuugentmugen:20200122234759j:image

・トミーモナハン

本作の主人公、超能力を得てからはその力を使って超能力者専門の殺し屋を始めた。女と子供には優しく、悪人しか殺さない主義。銃の腕はピカイチであるが、稼いだ金は野球賭博につぎ込むボンクラ男。見た目はイカツイが第一巻ではまだ25歳の青年。いつもサングラスにコートを着ていることから「ターミネーター」みたいと言われることもある。

 

 

f:id:yuugentmugen:20200123000047j:image

・ナット・ザ・ハット

トミーの相棒で肥満体(120キロらしい)の黒人。トミーとは湾岸戦争で出会った以来無二の親友。いつも帽子をかぶっている。

バケットバーガーと言う巨大バーガーが大好き。部屋では白いシャツに短パンでピザばかり食べている。妹がいるらしい。

 

f:id:yuugentmugen:20200122234833j:image

・ショーン・ヌーナン

トミー達の溜まり場であるバー「ヌーナン」のマスターにして孤児のトミーにとっては親父代りの気のいいおじさん。自身も昔は殺し屋家業を営んでいた。トミーが育った孤児院のシスターとは恋仲…なのでは?とトミーは疑っている。

 

f:id:yuugentmugen:20200122234848j:image

・パット・ヌーナン

トミーの幼なじみでショーンの甥っ子。タフガイのように振る舞っているが本当は血を見るだけで気絶しそうになるヘタレ。トミーのマネージャー的な存在。いつもハッケンを馬鹿にしている。

 

f:id:yuugentmugen:20200122234905j:image

・リンゴ

ヌーナンの常連で凄腕の殺し屋。銃の腕前はトミー並み…らしい。昔死神を見たことがある。

実は彼には壮絶な過去があり…

 

f:id:yuugentmugen:20200122234920j:image

・ハッケン

ヌーナンの常連。筋肉隆々の馬鹿。みんなのムードメーカー。非常に涙脆く友情に熱い。自分はリンゴの相棒と思っているが、リンゴからは上手い具合にあしらわれている。

 

f:id:yuugentmugen:20200122234937j:image

・ベイダー

元は地獄で「狂気の王子」と呼ばれ恐れられていたが、いろいろあってヌーナンのバーテンに、ショーンからいろいろ教わってるらしい。

 

f:id:yuugentmugen:20200123000506j:image

・シックスパック

ヌーナンの常連で自分のことをヒーローと思い込んでいるアル中ヒーロー。

犬溶接マンやフレンドリーファイヤーマンなどの超クセの強いヒーローチーム「セクション8」のリーダー。

 

f:id:yuugentmugen:20200123003424j:image

ティーゲル

元はゴッサムシティの刑事だったが退職に追い込まれる。トミーのことを殺人の容疑で追っていたが、なんやかんやあってトミーの恋人になってしまった。作中の中頃まで再就職が上手くいかなかった中々の苦労人。お爺さんがドイツ人でクォーターである。

 

※ちなみにセクション8のメンバーは

シックスパックを始め、

絶対に味方に当たるビームしか出せない「フレンドリーファイヤーマン」

窓で人をぶん殴りまくる「デフェネストレイター」

フランス人っぽい人「ジャン・ドゥ・バトン」

犬を人に溶接する「犬溶接マン」

タンを吐きかける「フレムジャム」

変態パワーで戦う(要するに異常性欲者)「ブエノ・エクセレンテ」

 

 

こんな泥臭い男達が、ゾンビやサンタや悪魔達と血生臭い戦いを繰り広げていくのである…

 

・有名ヒーローも登場

ゴッサムシティが舞台と言うだけあって、バットマンも出てくるぞ。

バットマンは殺し屋のトミーモナハンを追いかける。

f:id:yuugentmugen:20200122235006j:image

長いアメコミの歴史の中でもバットマンにゲロを吐きかけた男はトミーくらいなものではなかろうか?

 

f:id:yuugentmugen:20200122235111j:image

その他にはスーパーマンも登場。

スーパーマンはヒーロー達のトップとしてのプレッシャーをトミーに漏らす…

f:id:yuugentmugen:20200122235221j:image

グリーンランタンも出てくるぞ!

グリーンランタンはとある事件がきっかけでトミーと戦うことになる。

f:id:yuugentmugen:20200122235245j:image

キャットウーマンとも共闘するトミーとナット、彼女の色気の前に2人はデレデレ…

 

・泥臭い敵達

そんな一流どころのヒーロー達も出てくるが、基本的には泥臭い2.3流のヒーロー&ヴィランが出てくるのがこのヒットマン

f:id:yuugentmugen:20200122235347j:image

例えばこのナイトフィストはゴッサムの夜の支配者(自称)麻薬の売人を見つけるとぶちのめす正義の使者…ではなく、売人をぶちのめした後、薬を奪い取ってそれを横流しして金儲けするクズ。

f:id:yuugentmugen:20200122235400j:image

更にこのマウザーは地獄に落ちたナチス親衛隊5人を無理やりくっつけて誕生した化け物(めちゃくちゃ)

f:id:yuugentmugen:20200122235510j:image

このウォーターマンは平たく言えば生体発電が出来る奇形の男。ヴィランもクソもない

 

・粋な展開、言い回しが面白い&カッコいい

f:id:yuugentmugen:20200122235537j:image

ニンジャ絶対自白しない→速攻自白www

ヒットマンの特徴はなんと言ってもこのテンポのいいセリフ回し!!!

f:id:yuugentmugen:20200122235742j:image

140キロのドライバーのせいじゃないか?

120キロだっつの

f:id:yuugentmugen:20200122235836j:image

上の画像はこれから敵と対峙すると言う場面。トミーはどんな時でも軽口を忘れない。

f:id:yuugentmugen:20200123001311j:image

疾走したジミーホッファとは、アイリッシュマンでアルパチーノが演じた労働組合指導者。それにしてもトミーの酷い言いよう…

 

 

そんな三枚目なトミーもやるときはやる男。

f:id:yuugentmugen:20200123001045j:image

上の画像は友人の敵討ちを決意した2人、いつものヘラヘラした顔からは想像もつかない。

彼は友情と仁義には熱い男なのだ。

(その為、透視能力は仲間内でのポーカーでは絶対使わない)

 

この展開&セリフの言い回しは、おそらくタランティーノやクリントイーストウッドの映画をオマージュしてるのだろう。

トミー達はいつも馬鹿話に興じているし、ストーリーの展開は先が読めない。

実際に作品中には多くの映画のタイトルが出てくる。

f:id:yuugentmugen:20200123001838j:image

ロバートレッドフォードの「明日に向かってうて!」

f:id:yuugentmugen:20200123001854j:image

ワンスアポンナは大名作「ワンスアポンナタイムインアメリカ」

 

その他にも「男たちの挽歌」「レザボアドッグス」etcetc…

様々なガンアクション映画に影響を受けているのだ。だから渋い!!!

 

 

・ヒーローじゃない

ヒットマンの主人公トミーは決して善人ではない、ヒーローではない。

f:id:yuugentmugen:20200123002354j:image

作中、何度もヒーローチームや政府にヒーローとしてスカウトされるも、いつも一言「俺はヒーローではない」

この「俺はヒーローではない」がこの作品の一つのテーマである。

殺し屋のトミーは作中笑えるくらい人を殺しまくる。もちろん、それは悪人ばかりなのだけど…それでも、真綿に包まれていくように、その殺しの連鎖に話が進むにつれてジリジリと追い詰められていくトミーなのだ。

 

トミーは決してヒーローではない。アメコミヒーローは死んだキャラが簡単に生き返える。

しかし、この作品にヒーローは出てこない、みんな呆気なく死んでいく。

 

あくまでも彼らはただのゴッサムのゴロツキなのである。だからこそ愛おしく、最高に泣けるのである。

 

・正にアンチヒーロー

ヒットマンが連載されていた1996〜2001年と言う時代は正義のメッキが剥がれていった時代ではなかろうか?

ITが進むにつれて、メディアは多方面に進化していき、戦争は中継されるようになった。

映し出される画面に正義はあったのだろうか?

スーパーマン的な勧善懲悪の世界は終わり、問題は複雑に絡み合い、スーパーパンチでは問題を解決出来なくなっていった。

そんな時、清濁合わせ飲みながらゴッサムの下町で必死に暮らすトミーの姿は人々の心を打ち、ヒットマンは連載終了から20年近く経った今も未だに愛され続けているのではなかろうか?

 

トミー達の冒険の果てに何が待っているのかは是非とも実際にコミックスを手に取って確認してみて欲しい。

アマゾンからでも買えるし、比較的手に入れやすい本作、是非とも読んでみてほしい。