有限会社MUGEN本舗

ゲーム、バンド、漫画、映画、小説、なんでもブログ

最強格闘家になろう 第四十九話 「地獄コロシアム」

f:id:yuugentmugen:20200419104210j:image

宇宙海賊ミームは敗れた。

マントは引きちぎられ、サイコガンは折られ、全身の骨を砕かれ、眼帯は引きちぎられた。

そして、服もはぎ取られ、裸を曝け出し、呆気なく負けた。

 

「なんだ?こいつ?威勢だけは良かったが雑魚じゃねえか?」

 

乂門の1人がそう呟く。

 

「こいつ、まだ死んじゃいねえな?地獄コロシアムに運ぶぞ。見せしめにぶち殺してやる」

 

乂門達はトラックにミームを積み込むと、走り出した。

 

地獄コロシアムとは…?

かつて東京ドームと呼ばれた建物は乂門の処刑場となっていた。それは紀元前囚人や奴隷を殺し合わせたコロッセオの再現であった。

乂門にたてついた人間は地獄コロシアムに送られ、乂門総裁我山太一の前に引き摺り出される。そして、我山が罪人に刑を言い渡すのだ。

もちろん刑は一つ。『死刑』である。

死刑を宣告された罪人は乂門最強の男たち『5人衆』の誰かがいたぶりぬいて殺すのだ。

その処刑は民衆たちの唯一の娯楽でもあった。パンとサーカスがこの現代に蘇ったのである。

 

ミームはコロシアムの真ん中に放り出された。

トラックはミームを放り出すと走り去っていった。

観客席は民衆で超満員である。彼らは口を揃えて大合唱するのであった。

『死刑!!!死刑!!!死刑!!!死刑!!!』

ミームはその場の空気に飲み込まれそうになった。まるで電車を待つアンナカレーニナの気分であった。

「静まれ」

静かだが、確かな強さを持った言葉がコロシアムに響く。

観客席の一部に設けられた玉座の前に1人の男が立っていた。恰幅の良い中年男である。彼こそ、乂門総裁、我山太一であった。

 

「これより、裁判を行う。被告、宇宙海賊ミーム…お前は死刑だ」

 

その一言に観客が沸く。

死刑!死刑!死刑!死刑!!!

 

ちょっと待ったー!!!!

 

その怒号がコロシアムに響いた。

一言に皆押し黙り、声の方向を見た。

観客席の一角、そこにいたのは針金の様な黒くて真っ直ぐな髪、日に焼けた浅黒い肌、そして、剃刀で切ったような鋭い目を持った巨漢であった。

 

「裁判には弁護士が必要だろう。我山」

 

その男は乂門総裁、我山を見据えた。

我山の唇が吊り上がる。まるで旧知の友を前にしたような表情であった。

 

「加賀…八明…生きていたか…」

 

「随分と好き勝手やってるみたいじゃないか。俺は宇宙海賊ミームの弁護士として、刑罰の変更を要求する」

 

「ほぉ」我山が唸る。

 

「我山太一、お前の死刑を求刑する」

加賀がよく通る声でそう言うと、民衆はどよめいた。

 

「なはははは」

我山は大笑いをした。

「全く、馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、ここまで馬鹿だとは。どうする?どうやって俺を死刑にする?加賀八明」

 

「お前は奢り昂っているな。自分が負けるなどこれっぽっちも思っていないだろう。そして乂門の連中もそう思っているのだろう。俺たちが負けるはずが無いと。その鼻っ柱を折りにきた」

加賀はそこで一区切りし、民衆を見渡した。万を越す人間が加賀を見つめていた。

 

「俺はここに裁判を起こす。裁判は被告乂門一派、原告加賀一派による地獄コロシアムでの6対6での対抗戦を提案する!!!」