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最強格闘家になろう 第五十六話「毒が裏返る」

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「あのおっさん、普通に負けてるじゃねえか!?」

  原が叫ぶ。

 コロシアムの中央では吉岡が大の字で倒れていた。審判がカレクッドゥの勝利を宣言しようとした、正にその時であった。

 

 「ちょっとまったぁ!!!」

    加賀八明が叫んだ。

 「まだ吉岡は生きているぞ!!!」

   そう、吉岡はまだ生きていた。震える手で自分の胸を揉んでいた。

 「あれは…一体!?何をしているんだ?」

    原が不思議そうに呟く。

 「あれは自分で心臓マッサージしてるんですよ!!!きっとそうだ!!!」

    山口が叫ぶ。皆、なるほどなぁ…と頷いた。

 「お前らは間違っている…あれは心臓マッサージではない」

   加賀が山口の意見を一蹴する。

 「あれはチクニーをしているのだ」

 

   加賀の言う通りであった。毒に犯された身体を回復する為に、吉岡はチクニーをしていた。

 大観衆の面前でチクニーをする事で性的興奮が最大限に高まり、その為心臓がドキドキする。そのドキドキ具合と言ったら、心臓マッサージの比にならないのであった。

 吉岡の全身に血が巡り、吉岡の身体は死の淵から蘇った。

 吉岡はヨロヨロと立ち上がり、そしてカレクッドゥを見据えた。

 

 「お前が毒カレーを使うことはわかっていた。いいか、勉強は予習が大事、そして同じくらい復讐も大事…たっぷりお返ししてやる」

 

    吉岡は笑った。カレクッドゥはその笑みに気圧されそうになった。

 神戸教育業界の癌細胞と言われた俺が!?ふざけるな…吉岡ぶっ飛ばしてやる。

 

 2人は駆け出していた。お互い固く握った拳を相手に叩き込む。それだけを考え、それだけの為に動いた。2人の間に火花が散った。教育業界を背負う二大巨頭が今ここにぶつかろうとした!!!

 

 その時である!!!吉岡の身体を光が包んだ。一体何が起こったのか!?

 会場中の人間に理解ができなかった。

 なんと、吉岡の頭上には巨大なUFOが現れたのであった。そよUFOから吉岡に向けて光が降り注いでいた。

 吉岡の身体が宙に浮かぶ。みるみるうちにUFOに吸い込まれていく吉岡。

 

 これはアブダクションと呼ばれる現象である。

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宇宙人による連れ去り事件のことをこう呼ぶのだ。

 

   1975年、アメリカでこんな事件が起こった。

 トラビスという名の森林作業員が失踪した。警察が彼の同僚に事情聴取を行うと同僚は怯えたようにこう言うのであった。

 「トラビスは宇宙人にさらわれた」と

 数日後トラビスは見つかった。彼が言うには、UFOの中に拉致された彼が見たのは3人の宇宙人であった。世に言うグレイタイプと呼ばれる目が大きく、幼児のような体型をしているエイリアンだ。

 彼はエイリアンからさまざまな検査を行われたのちに解放されたとのことだった。

 このようなエイリアンによる人類拉致事件は全世界で行われている。

 しかし、こんな大観衆の前で拉致が行われたのは前代未聞の出来事であった。

  

 皆、試合のことを忘れて空を見ていた。吉岡がUFOの中に入ってしまうと、光は消えた。

 そして、次の瞬間、UFOは空高くとんでもない速度で飛び去っていったのであった。

 

 「あ…あれは一体!?」

    原が驚きのあまり、口をあんぐりと開けボソリと呟いた。

 

 「遂に動き出したから…作戦コードミームが…」

    加賀はUFOが飛び立っていった方向を見つめ笑った。この笑みの理由が分かるのはだいぶ先のお話…