有限会社MUGEN本舗

ゲーム、バンド、漫画、映画、小説、なんでもブログ

最強格闘家になろう第67話『ラップバトル』

f:id:yuugentmugen:20200705220543j:image

 

2人の男がコロシアムの中央で向かい合った。

観客のボルテージは頂点に達している。

1人の男は全身黒ずくめだった。

黒いシャツを着、黒いズボンを纏い、黒い靴を履いていた。肌は浅黒く、真っ黒な髪を肩まで伸ばしている。目は剃刀で切った様に細い。

 

加賀八明である。

 

一方は髪を整髪料で後ろに撫でつけ、オールバックにしており、白いシャツに黒いズボンを履いた初老の男であった。長身でよく見れば筋肉の隆起が服の上からでもわかる。

 

我山太一である。

 

 

「遂に、最終決戦だな」

 

我山が加賀に言う。

 

「我山よ…それは違う。俺達など前座に過ぎない」

 

「どう言うことだ?」

 

「今、俺の弟子の矢吹晴男がお前らの大将をぶちのめしに行ってるってことだよ」

 

「…晴男では、うちのボスには勝てまいよ。勝負を捨てたか、加賀八明」

 

「その逆さ、晴男にしか奴は倒せんよ」

 

「ともあれ、ようやく、俺たちの長きに渡る戦いに決着がつくのか」

 

そう言うと、我山は酒の瓶を懐から取り出した。

 

 

「野郎、酔拳の使い手か!!!」

ベンチで原が呟く。

「いや、違う、よく見てみろ…」

藤浪ドラゴンが気づいた。

 

 

「ありゃサラダ油だ」

 

そう、我山が持っていたのはキャ○ーラサラダ油。それを一息に飲み干し、また、全身に油を被る。

 

これぞ、乂門最強の男、我山太一の秘技、

油拳であった!!!

 

全身の油の滑りにより、グラップル(組技)を全て無効にし、尚且つ、打撃技もスリップさせる、正に最強の盾である。

 

試合開始のドラが鳴る。

 

「さぁ、加賀八明。流石のお前も油拳を破ることはできまい?」

 

油に塗れてかった顔で我山は笑った。

 

「所詮、乂門の当主と言えどスポーツマンよな」

 

加賀八明は笑った。

 

「我山よ…見せてやろう…俺の拳法をな…」

 

そうすると、加賀八明は印を結んだ。

忍法である。印を結ぶことで自身のコンディションを高めるのだ。

 

そして、祝詞を唱える。そうすることで術者の精神をトランスさせ、攻撃力を増幅させるのであった。

 

加賀は一息に呟く。

 

「何十年もの陸君臨 王にはなれず 何も得ず 終いにゃ終いにゃバカ拳法 油拳という名のバカ拳法 それらを守るために死ぬ 実に空虚じゃありゃせんか? 人生空虚じゃありゃせんか?」

 

印を結びながら韻を踏んでいた。

ラップである。

 

それを聞いた我山は何故か心の奥底から怒りが湧いてきた。

人生を掛けた全てを否定された気がしたのである。

 

「乗るな!!!我山!!!戻れ!!!」

ベンチにいるカレクッドゥ達仲間が叫ぶ。

 

「拳法俺に居場所をくれた。俺に拳法偉大さくれた」

 

我山も負けじとラップで応戦する。

 

「人間正しくなきゃ価値なし。お前ら乂門生きる価値なし。乂門乂門敗北者、ごみ山大将敗北者」

 

しかし、すぐさまラップで応戦する加賀八明。

 

「ヌァぁぁ!!!!」

 

溜まりかねた我山が拳を加賀に叩きつける。

加賀もまた同時に拳を叩きつけた。

2人の拳が宙でぶつかり合った。

 

その瞬間、加賀の拳が爆発した。

爆発が我山の油に引火し、コロシアムの中央で煙が上がった。

 

これは全て加賀の策略であった。

我山の必殺が油拳であることを第四十三話で捕らえた男から聞いていた加賀は対我山対策として、拳に火薬を仕込んだグローブを装着していたのであった。

しかし、最強の男、我山に対して一撃を喰らわせるのは至難の技である。

そこで、試合開始と同時に挑発。

長髪に乗り、拳を突き出した我山に対してカウンターを取ることに成功した加賀八明は見事我山に一撃を喰らわしたのであった。

 

哀れ我山。全身黒こげになり、口から煙を吹いて倒れ込んだ。

 

勝者、加賀八明!!!!

 

これにて、対抗戦全試合が終了したことになり、4対2で加賀チームの勝利となった。

 

これにて、乂門の独裁は終わりを告げたのである。

 

「やったな!!!おっさん!!!」

 

原が加賀に駆け寄り言った。

 

「まだだ。まだ、最後の戦いが残っている」

 

 

その頃、東京スカイツリーの最上階では2人の男が睨み合っていた。

 

王座に座る男とそれを見上げる男。

 

真島浩高と矢吹晴男であった。

 

「倒しに来たぜ…ヒロ…いや、レプタリアン斉藤!!!」