深夜12時過ぎ。
無性にタバコが吸いたい。
職場が全面禁煙になって以来吸う量がガクンと減ったし、喫茶店に行くルーティーンがなくなって更に本数は減って1日1本くらいしか吸わない。
そう言う話をすると、それぐらいしか吸わないなら辞めればいいのにと言われる。
確かに辞めればいい。
なんなら4連休ついぞ俺は一本もタバコを吸わなかった。単純に買いに行くのが面倒だったからだ。
ヘビースモーカーだったけど、今はベビースモーカーだ…
しかしながら、それでも尚、吸っていないと無性に吸いたくなる時がある。そしてそれは今である。
正直、辞めれるもんなら辞めたい。
歌丸師匠もイノマーもタバコ辞めりゃよかったと言って死んでいったわけでしてね…
喫煙者の肩身なんていまし超絶狭いわけでしてね。もう喫煙所なんてどこ探してもないし、喫煙所で吸っていても煙たい顔される始末ですよ。
ほんの数年前まではバカバカどこでも吸えたのにね。
俺が大学に入学した2012年。
大学構内どこでもバカバカ吸っていた。
一応所定の喫煙所はあったが、そんなのお構いなしに廊下や研究室や階段の踊り場でバカバカ吸っていた。
俺も周りに流されて、興味本位でタバコを吸い出したわけでして、これがもうね、最初は『煙たいな、こんなんのどこがいいんやろか?』と思っていたのにものの1週間くらいでポケットには常にセブンスターが入っていて、講義の途中に抜け出してタバコを吸いに行くような不良青年になってしまいましたね。
さてさて、思い出深いのは2014年の春。
喫煙者の俺らに度肝を抜かれる事件が起きます。
大学内完全分煙化。
なんでも、どこでもバカバカ吸う姿が非常に景観が悪いと言う事で、タバコを吸う馬鹿たちはひとまとめに集めようということになったわけだ。
学内には5カ所の喫煙所が設置された。
いずれも屋内にあり、喫煙所とは名ばかりの汚い密室でして、換気も悪いし狭いのでいっつも煙がモクモクと立ち込めていた。
俺たちは喫煙所を『アウシュビッツ』と呼び憎んだ。
なんとか青空の下思い切りタバコを吸いたい我々喫煙者達は高校生の様に校舎裏でひっそりとタバコを吸うようになったのだが、すぐに守衛のおじさんに見つかりこっぴどく怒られた。
お前ら、次見つけたらわかってるだろうな。
と言うおじさん。今思えば1発でしょっぴかないあたりとても優しかったな。
そんな事が起こったもんだから、俺たちは渋々アウシュビッツの中で白煙に塗れタバコを吸う事を余儀なくされた。
そんなある日、誰かがこんな事を言った。
学内にある喫煙所を全部回ってタバコを吸おう
金はないが時間だけはたっぷりあった我々はその案にすぐさま乗った。
かくして大学構内を歩き回って喫煙所を回ったのだが、大学と言えどその敷地はたかが知れており、3カ所目までは問題なかったのだが、あまりにも短いスパンでタバコを吸いすぎたが為に少しグロッキーになった。
もうタバコを吸いたくない。なら辞めればいいのに特大級の馬鹿だったが為に何故か中止はせず、喫煙所グランドスラムを遂行した。
5箇所回り切った頃にはもうヘロヘロになっていた我々であるが、謎の達成感に包まれた。
そして、なぜか分煙化して俺たちを縛り付けた大人たちへの僅かながらの反抗であると思った。
別になにも成し遂げてないのにね
まぁ、慣れればどうと言うこともなく、我々はヤニの匂いでいっぱいの喫煙所でタバコを吸うことにも慣れていったのであった。
ちなみに今では我が母校は全面禁煙でタバコを吸う人なんてひとっこひとりいないのだ。
時代は変わるものである。
こんなことを書いているうちにそろそろ1時だ。よかったなんとか今日は欲望に打ち勝てそうだ。