昔、とあるラーメン屋で常連認定されていた。
もともとその店が好きで開店時から通い詰めていたのだが、常連認定されたきっかけはある日彼女と一緒にラーメン屋に行った時、彼女の事を笑わせたくて、
「ここのラーメンは死ぬほど上手い。替え玉あと5杯はいけるね!!!」
と嘘ぶき、吐きそうになるまで食べると言うギャグをかました事だった。苦しそうにラーメンを食べる俺を見て彼女は結構笑ってくれた。
店長はそんな俺のバカ話を聞いていたらしく、それ以降よく話しかけられるようになった。
「新作作ったんすけどどうですか?」
「大晦日ですね!年越し蕎麦もうちで食べてくれてありがとね!」
などなど…
正直、スゲー気まずかった…
俺は1人孤独にラーメン食いたいのよ。
ラーメンは求めているけどフレンドリーさは全く求めていないのだ。頼むからラーメンだけ出してくれ!!!
気まずいけど味は好きなのでそれ以降もずっと通っていた。
とある日、店を開けたら鍋をかき回しているのはいつもの店長ではなく、なぞの小太りのオヤジだった。
噂では店長は修行の為京都に行ったらしく、そこで親戚のオヤジが二代目として厨房に立つようになったそうな…
程なくしてその店は潰れた。
人間なんて勝手なもんで、いなくなってから急に初代店長に会いたくなるもんである。
あー、店長のラーメンもう一回くいてえな…