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第一回「動く人形がいる公園」愛知県:五色園

 今年の春に仕事を辞めて、ダラダラと過ごしていたある日、前の職場の後輩と久しぶりに遊ぼうか、なんて話になった。

 この後輩、学生からの友人で、大学〜会社まで同じの長い付き合いだ。辞めた俺を気遣ってくれての遊びの誘いだったのかも知れない。

 さあ、どこへ行こうか?

 という段になって俺は「五色園に行きたい」と告げた。

 五色園、愛知県は日進市にある公園で、敷地面積は200万坪。東京ディズニーランドよりも広い。

 そこには浅野祥雲というコンクリート像作家が作った親鸞聖人をはじめとする僧侶や仏教に関わる逸話を模した像が100体以上展示されているのだ。

 

この浅野祥雲先生はなかなかな大物で、たとえば犬山市にある桃太郎神社にある桃太郎達の像は「シュール」「きもかわいい」なども言われて全国テレビでもたまに取り上げられるくらいだ。

 

しかしながら、先生の像は妙に人間臭く、どこをみているのか分からない独特の目をしているので、像を見物する場所や時間によっては恐怖を感じる人もいることだろう。

 

その証拠に先生の作品の中には、心霊スポットまがいの扱いを受ける不遇の像達もある。

 

それこそ、この五色園の僧侶達である。

 

彼らはなんと閉園後の17時以降、闇夜の中動き回るだなんていう噂がまことしやかに囁かれている。

 

こんな噂を聞いたら、まあ、一眼見たくなるものである。

 

当日は生憎の雨、

降り頻る雨の中、五色園へと足を踏み入れた我々。元々は心霊スポットでも何でもなく、ただの仏教施設なのである。その証拠に園内には大安寺と言う寺もあれば、墓もある。

ただの宗教施設…

 

そう言い聞かせて、入園したが、入園した直後から所狭しと並ぶ像たち…

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……

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怖くない、怖くないと、自分に言い聞かせたけど、間近で見るとめちゃくちゃ怖い。

 

まず、何が怖いかと言うと、単純に像がデカい。全部190センチくらいはある。

 

そして、なんと言っても目が怖い。

どこを見ているのか、笑っているのか、何を考えているのかが分からない顔が怖い。

 

もちろん、17時以降に動くと言う馬鹿げた話を聞いてしまったと言うこともあるだろう。

 

先入観も手伝って、とても怖い。

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その日は天気も悪く、より不気味に感じた。

 

「もしも、仮に人形が襲ってきてもすぐに逃げれるように車で園を回ろう!」

 

と俺は後輩に提案し、2人で車に乗り込み、園を回ったが、すぐに行き止まりになる。

どうしたものかとマップを見ると、車で回れる場所は限られており、園をくまなく見ようとすれば、歩きで園内を回らねばならないということだった。

 

「どうしますか?」

 

と後輩に聞かれて俺はすぐさま

 

「帰ろう」

 

と答えた。

 

降りしきる雨の中、誰もいない、木々が生い茂る森の中に動くかも知れない像を見に行くなど、断固拒否である!!!

 

その後、我々は喫茶店でコーヒーを飲んで帰ったのであった。