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自己紹介とこれまで創作したものまとめ

 こんにちは、牛丼一筋46億年です。

くそ雑魚リーマンやってます。

 

小説、漫画、詩、エッセイをこのブログで日々発表しております。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

小説

 

長編

 

バイオレンス下ネタ格闘小説

『最強格闘家になろう』

不定期更新

『真・最強格闘家になろう』

 

ギャグ異世界転生小説

『異世界転生してきた勇者がいるそうだが、地方で衛兵やってる俺らにはまったく関係ない件』

不定期掲載

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学園ラブコメ猫娘アクション

『唐変木と猫娘』

不定期掲載

 

短編

地球留学

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summer

 

Summer 大脱走

 

Summer 中華料理屋にて

 

漫画

4コマ寿司ギャグ漫画

『魚の兄弟』

毎日19:00更新

 

 

エッセイ

 

スターウォーズ沼

 

男子敷居を跨げば七人の女あり

 

2018年ベスト

 

男子敷居を跨げば七人の女あり

これは1人の男の恋活…いや濃い活…

いや…悲劇のエッセイである。

 

 

シーズン1

 

男子閾を跨げば七人の女あり その1 - 有限会社MUGEN本舗

男子閾を跨げば七人の女あり その2 如何にして非モテの道を進んだのか? - 有限会社MUGEN本舗

男子閾を跨げば7人の女あり その3 ナース編 - 有限会社MUGEN本舗

男子閾を跨げば七人の女あり その4 保育士編 - 有限会社MUGEN本舗

 

シーズン2

誠実さには勝てない【バチェロレッテ 1〜4話感想】

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バチェラーシリーズが大好きでこれまでのシリーズは全て見ている。

今回は男女逆転のバチェロレッテとあって、どんなものだろうか?と最初は思っていたが、これまでのシリーズと遜色なく、いや、これまでのシリーズの中で一番好きだったかもしれない。

 

まず、なにが良いかと言うと、人数がこれまでよりも少なく17人スタートである。

この為、最初からキャラ立ちしている人達の名前を覚えやすく、一人一人に感情移入しやすい。

更に今回は男達が集められたが故に起こる事件が面白すぎる。男はプライドが高い生き物で常に格付けし合っているようなところがある。

だからこそ、コイツには負けたくない、俺は勝っているんだぞ。と敵意や嫉妬剥き出しで喧嘩し合うヒリヒリさはバチェラー以上である。

尚且つ、そんなプライドとスペックが高い彼らもハイスペック女子のバチェロレッテ福田萌子さんの知性と美貌の前にタジタジになるのがまた面白い。

 

バチェロレッテの福田萌子さんのキャラが本当に良い。

176センチ、スタイル抜群、美人、聡明、芯の通った強さもありつつ、大笑いしたり子供みたいなところもある。

頭いいから男達の下心とか、矛盾とか、薄っぺらい男を見抜く力が半端じゃない。

『福田さんって〇〇ですごい素敵だよね』

みたいに口説こうものなら

『え、でも〇〇って〇〇だよね?』

とパンと切られてしまう。

 

このハイスペック女子vsハイスペック男子達の恋愛強者同士の戦いに心躍らせることになるのだろうなと想像していたら、エピソード4で思わぬ方向に進んでいった。

 

【杉田陽平さん】

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参加者の1人杉田陽平さんは画家をされている。

この宣材写真を見た時、なんだかいけすかないアートかぶれの男なのかな?と思っていたが全くそんな事なかった。

福田さんとの初対面の際は書いてきた福田さんの絵を彼女に見せる。絵の中の彼女はモノクロである。『この旅であなたのことを知っていってこの絵に色をつけたい』と告げる彼はとても素敵だった…がしかし、回が進むととてもピュアで涙脆く、それでいて少し頼りない部分が見えて来る。

例えば、最初のカクテルパーティでは福田さんに話しかけれず、ポロポロと涙をこぼしてしまうのである。

おい!とツッコミたくなる初登場であったが、その後もみんながマリンスポーツをしている中、ブランコ漕いでたり、海辺の花を摘んでいたりとなんだか男らしくない。みんなで筋トレする際には膝ガクガクになってたし。

周りの男達も『杉ちゃんはないっしょww』みたいな少し舐めた感じである。

しかし、彼が大化けした。いや、正確には彼は全く変わっていない。

 

 

事件が起こったのはエピソード4、台湾でのデートである。福田さんに選ばれた杉ちゃんは福田さんを頑張ってエスコートしてデートを進めようとするが、福田さんは子供っぽく杉ちゃんのエスコートを躱してウフフと笑う。

 

その光景を見ていた時、なんだか、2人がとてもいい感じだなーと思ったのだ。

上述した様に、福田さんはしっかりと自分の考えを持った女性で、言い換えれば強気っちゃ強気である。自信満々のハイスペック男子達とバチバチにやっているよりもちょっと尻に敷けるくらいの杉ちゃんと一緒にいた方が楽なのかもなーと思った。杉ちゃんスゲー優しそうだし。

事実、1人だけ『ちゃん』呼びだし。

 

それでね、杉ちゃんのデートコースってのがとっても素敵だったのよ。

 

杉ちゃんが選んだデートコースは『灯篭飛ばし』台湾名物でべただなーとか思ったけど、ここで杉ちゃんのセンスが良い意味で爆発する。

 

灯篭飛ばしは灯篭に願い事を書いて空に飛ばすのだが、杉ちゃんが書いた言葉がとてもとても素敵だったのだ。

 

灯篭は四角形なので4つ願い事を書く。

 

仕事の面には

『何をしたいかではなく、誰と何をしたいか』

 

お金の面には『表現の羽』

 

朴訥としているが、しっかりと自分の夢や仕事について語り出す彼。

本人曰く、『話している内に仕事モードに入っちゃった笑』と言っていたが、その目に普段の頼りなさはなく、アーティストとしての信念を語る姿はカッコ良かった。

 

そして、残り二面には、お互いが思う『愛』について書こうと言う事になった。

今回のバチェロレッテの大きなテーマは『愛』である。福田さんは結婚して子供を産みたいと言う願望が強いらしく、でも、それを手に入れれていない自分に悩み、動画の中で何度も『愛って何だろう?』自問し、そして男達にもその質問を投げかける。

 

果たして杉ちゃんは何と書いたのか?

 

彼は一言

 

『花びら』

 

と書いたのである。

 

愛は花びらのように、手を伸ばし握りしめようとしたらフワリと逃げていき、来ないだろうな、と思っていたら風に乗って手の中に潜り込んできたりするもの。

 

と言うのだ。

 

ロマンチック大魔神

 

この人はなんて素敵なことを言うのだろうか

福田さんも驚きと素敵さで声が出なかったと言う。

 

ちなみに福田さんは『生きる』生きる全てが愛だからと情熱家である。

 

そして、デートの終わり際、杉ちゃんは福田さんに絵を見せる。

 

そこにはエピソード3で、福田さんの故郷である沖縄の海の青が足されていた。

なんでも、彼女と見た海と彼女の言葉がインスピレーションをくれたとか…

 

『完成させたいんです。これが思いなんです』

 

と語る杉ちゃんに思わず涙が溢れる福田さん。

 

そして2人の前で打ち上がる花火。

 

最終回か!!!

 

もちろん、その後福田さんは

『一緒にいる一瞬一瞬が幸せでした』と言って杉ちゃんにバラを渡すのであった…

 

 

 

 

いやー、なんだか、ちょっと泣きそうになっちゃったwww

 

 

バチェロレッテを見ていて、ん?と思うシーンが結構ある。

それは福田さんを取り合う男達の姿だ。

上述した様に、男ってのはプライドが高くて、それでいて相手を打ち負かしてやろうって人が多い。(それが面白いんだけどね)

だから福田さんを巡って、言い合いをしたり、抜け駆けして出し抜いたり、相手を見下したりと福田さんを手に入れる為じゃなくて、いつの間にか『みんなに負けない為』に行動している。『みんなを打ち負かす事』が目的になってしまっている。(気がする)

なんかバチェラーシリーズほど男達から

【愛してるぜー!!!】って感じが伝わってこない。【勝ち取ってやるぜー!!】って感じ。

 

そんな中で杉ちゃんだけは売名や相手を蹴落とす事ではなく、福田さんを一番に考えていた。

 

確かに頼りないけど、美術に対してとんでもない情熱を持っていて、体力はないけど筋トレも最後までへばりながらもやり通し、周りがいがみ合っていても一切文句も悪口も言わない。

地味だけど圧倒的な人間力で勝利を勝ち取ったのである。

 

どんなイケメンもどんなスケコマシもどんな甘い言葉も誠実さの前には勝てないのである!!!!

 

 

ちなみに、杉ちゃんの事が気になり過ぎて調べたら、彼は超売れっ子画家らしく、絵は売りに出されたら即完売らしい…

もはやバチェラーやろ…なんでそんなスゴイ人なのにあんな謙虚やねん…

高校時代に戻れるのなら俺はめちゃくちゃする。

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ふと気が付いたのだが、今でもよく遊ぶメンツは大学時代の友達と幼なじみくらいである。

 

中高生時代の友人達はいつの間にか綺麗さっぱり周りからいなくなっていた。

何故か?進学、就職でライフステージが変化し、通う場所が変わっていったからか?と思ったが、それだと就職してからも大学時代の友人達と遊んでいることに説明がつかない。

 

うーんと頭を捻った結果、やはり、これは、

 

望んだかどうか

 

の違いなのだと思う。

 

中高生の頃の交友関係って正直異常だと思う。

狭い密室に多感な若い男女40人を閉じ込めておくのだ。

衝突やいじめがないはずがない。事実、俺は変わり者だったから、まぁ、そりゃいじめに近い事もされた。

それから逃れる方法の1つが友達を作るなのだ。

人間って醜いもので群れている奴らよりも個人を狙いたがる。 

だから俺は独りになるのが怖くて友達を作っていた節がある。今考えるとそんなの最早友達でもなんでもないのだけれどね。

とにかく中学高校って大人が思っているよりもずっとハードな環境で友達を作って群れるってのは俺なりの処世術だった。

そんな浅い関係の奴ら進学を機に周りからいなくなるなんて当たり前の話である。

 

一方、大学時代の友人で未だに遊んでいる人達を考えると面白い。

殆ど部活の仲間なのである。クラスの友人は1人もいない。

やっぱり俺はクラスとかそう言う無理やり集められた集団が非常に苦手なのだ。(事実俺は職場も苦手で今休職している)

その点、部活の友人達はこう言う言い方をするととても失礼なのだが、

『俺が選んだ人間たち』だった。

要するに、無理やり集められて押し込められるんじゃなくて、俺がキチンと考えて付き合った人達なんだと思う。だから部員の中でも気が合わなかったり、この人嫌だな、と思った人とは接触を避けていた。

そう言う取捨選択の末に残った人達なのだがら、そりゃ気が合ったり一緒にいて楽しい訳だ。(恐らく彼らはそんな事全く思ってなさそうだがな!友情は常に双方向ではないのである)

 

 

今、思い返すと高校時代、テキトーに自衛のために友達を作るなんて馬鹿だったなと思う。

腹割って本当の自分を晒していれば、クラスメイト38人に虐められても、1人くらい親友は出来ていたかもしれないのに…

 

でも、馬鹿じゃなきゃあの頃生き残れなかったんだろうな…とも思う。当時の俺は俺なりにとても必死だったのだ。

 

15歳の俺に『大丈夫だよ』と言ってやりたい。

 

そして、代わってやれるなら代わってやりたい。

 

とりあえず、クラスメイトのオッパイ揉みまくって、気に入らねえ陽キャ軍団のドタマを片っ端からバットでかち割って教室の真ん中で放尿して、クソみてえな教師の口にクソ垂れてやる。

 

なに、どうせ10年後は合わねえんだからな笑

 

 

【追記】

 

もしかすると10年後の俺は同じような事を思っているのかもしれない。

 

『どうせ辞めるのに、あんなに頑張って上司に合わせたり、パートさんの愚痴聞いたり、当時の俺は馬鹿だったな。腹割って話せば親友の1人くらいできたのかもしれないのに。

26歳の俺に『大丈夫だよ』と言ってやりたい。

そして代わってやりたい。

 

とりあえず、フロア中の女子社員のオッパイ揉んで体育会系の先輩のドタマを片っ端から叩き割って、クソみてえな社長の口にウンコ垂れてやる。

 

なに、10年後には会わねえんだからな笑』

 

うーん…ダメだな。

15歳だとまだ刑務所まではいかないが、今の俺なら100豚箱行き決定である、、、

一周遅れてるのかもしれない

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17歳の頃、ガチで一生彼女出来ず童貞のまま死ぬのではないかと絶望していた。

 

しかし、少し遅いが22歳の夏に初めて彼女ができた。よかった。

 

それ以来、普通にしてれば普通に彼女ができることに気がつき、そこそこ女の子と付き合えるようになった。

 

これは俺にとって大きな変化であった。

要するに非モテと言うことが心の中でひどいコンプレックスになっていたのである。

思春期の頃、異性から恋愛対象として見られないと言うのはとてもしんどいことだったのだ。

クラスの所謂スクールカースト上位の男の子に女の子は集中しており、恋愛と言う舞台に上がることすらできなかったり自分のことを恥じていた。

その呪いが20代半ばにしてようやく解けたのである。

 

しかし、ようやく呪いが解け、やっと周りの同年代とイーブンになれたと思っていたが、ふと周りを見れば結構な確率で同棲、結婚、果ては出産とライフステージが俺よりも1.2歩先に進んでいるのである。

 

 

つまるところ、彼らはもう彼女ができるできないと言う悩みなどとうの昔に解脱していて新しいステージに行っているのである。

 

俺はみんなから一周遅れてるのかもしれない…

 

ふと小学生の頃、足の速い子にマラソンで周回抜かしをされた時の感覚を思い出した。

 

まぁ、恋愛なんて競争ではないので俺の感じ方が正しいわけでもないのだが、事実、27歳である俺の周りを見渡してみれば、恋愛市場と言うものにおいて27歳の価値は決して高くない。昔に比べて選択肢は狭まっている。

例えば同年代の可愛い子はだいたい彼氏がいるか、結婚している子が殆どである。

つまり、こと恋愛において、彼女達は一抜けて恋愛市場からおさらばしており、同年代の可愛い女の子と今から付き合うのは至難の技である。

 

では残された我々敗残兵は一体どうすべきか?

 

まず考えられるのは歳下の女の子を狙う。

女の子は年上を美化する風潮があるし、また彼女達の周りの男子に比べて経済的には比べ物にならないくらいこちらにアドバンテージがある。

つまり、いい男に出会う前の女を囲ってしまう光源氏作戦だ。

しかし、世間知らずのガキ相手にご機嫌とりするのは絶対疲れるはずだ。

 

次に考えられるのは30代の婚活ガチ勢の女性と付き合うと言う手だ。

これもなかなか良い。その年代の女性は焦っている分、付き合える確率が上がるし、一通り酸いも甘いも経験しているからむしろこちらを支えてくれることだろう。尚且つ、それだけ働いている女性は給与もいい可能性が高い。

欠点を挙げるならば『ガチ過ぎて嫌になった時振りづらい』と言うことではなかろうか。

あの陰キャとひねくれ者の集まりと言われているなんJですら30半ば過ぎの彼女を捨てることは『重罪』と言われているくらいである。

 

 

え!?結局、もう八方塞がりじゃん!!!

結局お前は何がいいたかったの?と思う方が居ると思う。

 

その通りである。恋愛なんて常に八方塞がりであり、損得勘定だけで考えたのならばリスクデカ過ぎてするべきではないのである!!!

 

つまり、こんなあーしたらとかこーしたらとか、奴らが俺よりも低いだ、高いだ考えるだけ無駄なのである。

 

ただ、好きになった人を追いかけまくれば良いのだ。

 

そうすれば一周くらいの遅れなんてすぐに取り戻せる筈である。

 

 

俺とラーメン屋

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昔、とあるラーメン屋で常連認定されていた。

 

もともとその店が好きで開店時から通い詰めていたのだが、常連認定されたきっかけはある日彼女と一緒にラーメン屋に行った時、彼女の事を笑わせたくて、

 

「ここのラーメンは死ぬほど上手い。替え玉あと5杯はいけるね!!!」

 

と嘘ぶき、吐きそうになるまで食べると言うギャグをかました事だった。苦しそうにラーメンを食べる俺を見て彼女は結構笑ってくれた。

 

店長はそんな俺のバカ話を聞いていたらしく、それ以降よく話しかけられるようになった。

 

「新作作ったんすけどどうですか?」

「大晦日ですね!年越し蕎麦もうちで食べてくれてありがとね!」

などなど…

 

正直、スゲー気まずかった…

 

俺は1人孤独にラーメン食いたいのよ。

ラーメンは求めているけどフレンドリーさは全く求めていないのだ。頼むからラーメンだけ出してくれ!!!

 

 

気まずいけど味は好きなのでそれ以降もずっと通っていた。

 

とある日、店を開けたら鍋をかき回しているのはいつもの店長ではなく、なぞの小太りのオヤジだった。

 

噂では店長は修行の為京都に行ったらしく、そこで親戚のオヤジが二代目として厨房に立つようになったそうな…

 

程なくしてその店は潰れた。

 

人間なんて勝手なもんで、いなくなってから急に初代店長に会いたくなるもんである。

 

あー、店長のラーメンもう一回くいてえな…

真・最強格闘家になろう 第十三話「敗北」

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 病室である。大部屋のカーテンでしきられた狭い一画の狭いベッドを囲むようにデカい男たちが立っていた。

 

藤浪、原、山口である。そしてベッドに横たわっているのは前田であった。

 

「いや、すまん、負けてしまった」

前田がポツリとそう呟く。それに対して誰も答えられない。藤浪達三人も寿プロレスの三人を相手に制されたのである。この場にいる人間全員がある意味では敗北者なのだ。

 

「たま潰れたらしいな」

原が言う。

「おう、片方だけだからまだ使い物にはなるらしい」

前田は前日超新塾の刺客下衆際に敗北している。

 

「ナサケネエナァ…ソロイモソロッテシンキクサイゼ」

 

カーテンの向こう側から聴き慣れた声がする。

藤浪がカーテンを勢いよく引くと、そこには恰幅の良い黒人が横たわっていた。ドレッドヘアーにサングラス。スティーピーワンダーであった。

 

「スティーピーさん!!!」

皆驚きの声を上げる。

 

「オレモキノウノサレチマッタワケダ」

 

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「ナルホドナ、ツマリ、カガリュウヲネラウシカクタチガコノマチニシュウケツシタト…」

 

皆の情報を集めたところでスティーピーがそう言った。その通りである、対乂門戦に出た加賀一派の加賀と矢吹以外が敗北したことになる。

 

「で、どうするよ?俺は正直もうごめんだぜ、これ以上やっても得るものより失うものの方が多い」

前田はふーと息を吐いて言った。

前田には以前のような荒々しさやキリキリとした鋭さは無くなっていた。普通の生活は彼から格闘家としての精神を少しずつ奪っていたのであった。

 

「愚問」

藤浪がはっきりと言う。

 

「その通りだぜ、やられたらやり返す。それが俺流だ。あの炎山って小僧と決着はまだついてねえ」

原が答える。

 

「ソノトオリ、カガリュウハホネノイッポンニナルマデタタカイツヅケルモノダ」

スティーピーが笑う。

 

「別に僕ら加賀流ってわけじゃないですけどね」

山口が控えめにそう言った。

 

皆の目は闘志で溢れていた。彼らは一流の格闘士!!!いつまでも敗北の汚名を被っているほどヤワではない。それぞれがそれぞれにリベンジを誓うのであった。

 

「しかし、心配なのは矢吹だぜ、あの野郎どこほっつき歩いてるんだか…」

原が呟いた。

 

その頃、同じ病室である男は食事をしていた。

彼の頭部は血肉骨がすべて剥がれて釜玉のような脳味噌が外気に触れていた。

その釜玉も半分削がれている。男は半分しかない脳味噌を露出させ、その目は虚である。

虚なまま口にものを運ぶ、何を食べているのか?それは自身の脳であった。

その男、吉岡清一郎改め、ハンニバル吉岡の誕生である。

 

 

真・最強格闘家になろう 第十二話「道場破り」

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「あ、もしもし、佐山さんっすか?俺っす、下衆際です」

「下衆際か、どうした?」

「昨日ね、矢吹と加賀を挑発しようと思って、奴らの仲間の前田修斗って言う奴と戦ったんすよ」

「前田って、あのトーナメント出てた」

「そうっす!それっす」

「・・・負けたのか?」

「まさか!でも、結構強かったっすよ。俺、数日はベッドから動けなさそうっす。一回戦敗退であれぐらい強いってことはもしかすると裏格闘家の奴ら想像以上かも知れませんよ」

「それを伝える為に電話してきてくれたのか?」

「ははは、俺ら兄弟弟子でしょ。ちゃんと助け合わないと。ところで今佐山さんどこですか?水とか食べ物ホテルに持ってきてくれたらなー、なんて思ったりしてて」

「今、加賀流のビルの前にいる」

「マジっす…?」

 

 夏空が広がる昼過ぎ、佐山大海は加賀流総本部道場の目の前に立っていた。この男、道場着を肩からつっかけ、白いシャツにジーンズにスニーカーと言うラフな格好をしている。短く刈り込んだ髪と鋭い眼光、そして日に焼けた肌が印象的だ。

 

男は決意を決めたように足をビルへと向けた。

 

 

道場内で道着を身につけた青年達が並び皆足を上げたり、腕を回している。彼らは決して突きや蹴りの練習をしている訳ではない。

彼らの前に置かれている大型テレビで流されている映像の通りに身体を動かしているのだ。

その映像の名は

『ビリーズブードキャンプ』

 

実戦で強くなりたければまずは身体作りから、と言う加賀八明の意向でこのような取り組みが行われている。

がしかし、その実、これは手抜きであり、こんなことで一月30万円も月謝を取っているのはあまりにもあこぎな商売であったが、乂門を打ち倒した加賀流に対して疑いの目を持つ者は皆無であった。

 

とにかく、皆強くなりたい一心で加賀流の門を叩くのである。

 

道場生達がビリーズブードキャンプに熱中しているその眼前に1人の男が現れた。

筋肉質で色黒で鋭い眼光の持ち主だ。彼はよく通る声で一言こう言った。

 

「加賀八明先生とお手合わせ願いたい」

 

一方、その頃、館長室には1人の男がいた。

スティーピーワンダーである。

彼は皮張りのソファーに全裸で反り返って座り、高級ワインを片手に映画『フォレストガンプ』を見ていた。

 

そして、彼の下半身には女が1人絡みついており、スティーピーのブツをその口で頬張っている。

そして、スティーピーは酔いと薬物の影響でトロントした目でフォレストガンプを見つめている。

加賀八明再逮捕に伴い一番弟子であるスティーピーワンダーが米国より訪日し、館長代理を務めているのだが、潤沢な資金と誰もいないことを良いことに館長室で日夜酒池肉林を繰り広げていた。

 

「ナァ、フォレストガンプノヨメッテケッキョクチョウヤリマンダヨナ…デモ、オレ、マイカイミテルウチニナイチャウンダヨナァ、ドウシテダトオモウ?」

 

スティーピーワンダーは泣きながら女に尋ねる。

 

その時である、門下生の1人が勢いよく館長室には入ってきた。

 

「テメエ、ノックシテカラアケヤガレバカヤロウ!!!」

 

スティーピーワンダーが怒りの声を上げるが、門下生は構わず叫んだ。

 

 

「押忍!!!館長代理!!!道場破りです!!!超新塾の佐山が来てます!!!」

 

「サヤマ???サヤマアイガキテルッテ??5ネンマエニコイッテイットケ」

 

 

門下生たちは壁を背に正座で2人の様子を見つめている。

道着を身につけた佐山と全裸のスティーピーワンダーである。

 

「なぜ、服を着ていない?」

佐山がすっと腕を構えながらスティーピーに尋ねる。

「行住坐臥、オレハ24ジカンエブリデイセントウタイセイダ。ワザワザドーギニキガエルヒツヨウナンテナッシング」

スティーピーは構えない。速さに関しては絶対的な自信があった。

ジークンドーマスターであるスティーピーは相手が拳を出してからでもそれに合わせて技を出せる。それだけの動体視力と速さを持っている。

 

佐山はゆっくりと右手を引き、左手を柔らかく前方に突き出す。

 

誰がどう見ても正拳突きの体制である。

 

バカジャネエノ?スティーピーは半ば呆れていた。そんな愚直な攻撃が通用するほど甘くない。格闘技にファンタジーは存在しない。

 

スティーピーはジークンドーの中で最速の技を繰り出した。拳を縦にして相手までの最短距離を走り抜ける拳、リードパンチである。

 

スティーピーの拳は構える佐山の顎の薄皮をとらえた。これで佐山の頭蓋骨の中で脳味噌が暴れて、脳震盪を起こしたことはまず間違いなかった。

 

イッチョアガリダゼ。

 

スティーピーは心の中で呟いた。

 

しかし、誤算があるとするならば、

 

佐山は倒れなかった。

 

果たして脳震盪が起こっている状態で人は正常に動くことができるのか!?

 

もしも1日に何度も、何度も、何度も、繰り返し、繰り返し、繰り返し、ひとつの動作を狂気の反復を行っていたのならば、例えば、正拳突きを1日に1000回行っているのならば!?

 

それは可能である。

 

脳ではなく、身体が覚えている!!!!

 

一撃必殺

それは空手の神話である。

一撃で相手を屠るのが理想。

しかし、現実はそうはいかない、人体は強靭である。蹴りを、突きを覚えなければ倒すことはできない。

しかし、佐山は正拳突きしか空手の技を知らない。

琉球より本土に伝わった空手は西暦2000年代に於いて、遂にひとつの完成を見る!!!!

 

佐山大海、正拳突きのみで空手界の頂点に立った男。

 

リードパンチをくらいながらも佐山愛の繰り出した右正拳突きは容易にスティーピーの鳩尾を貫いた。

 

その一撃によりスティーピーは糸の切れた人形のように倒れ込んだ。