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第二回「絶対に行きたくない駐車場」 愛知県:三角屋敷

 皆さんは三角屋敷と呼ばれる心霊スポットをご存知だろうか。

 そこは黄色い壁をした一軒家で、愛知県はあま市にあった。

 そこは道路が交わる三角地帯に建てられたことから三角屋敷と呼ばれといたのだが、どうにも妙な噂が絶えなかった。

 例えば、入居者は皆「幽霊が出る」と言ってすぐに屋敷を去っていく、これならまだ良い方で、運が悪い入居者は「精神的な病にかかる」更に最悪のケースでは「自殺」「他殺」が起きたなんて噂もある。

 

 一才を風靡した霊能力者である宜保愛子さんはこの屋敷を前にして、「ここには入れない…」と入ることすら拒否されていた。

 

 一説によると、あまりの不気味さから呪怨のモデルになった家なのではないか?とまで言われている。

 

 さて、そんな屋敷だが俺は行ったことはない。現実では

 

 今年の夏、友人とオンラインで会話をしていた。コロナ禍の現在、遠出も憚られる日々が続き、せっかくのお盆休みでも友人とは気軽に会えなくなってしまった。

 

 そこで、オンラインで顔を突き合わせて話していたのだが、夏ということもあってか、気がつけば心霊の話になっていた。

 

 心霊スポットに行ってみたい!

 でも、怖くね?

 というか、そもそも集まれないし

 

 ならば、オンラインで、つまりGoogleマップを使って心霊スポットに行ってみないか?

 と俺は提案した。

 昨年も同じようなことを別の友人とした盛り上がったことを思い出したのだ。

 

 いいね!

 それ面白い!

 

 と盛り上がり、友人の1人がGoogleストリートビューを使い、心霊スポットにバーチャル上で向かうことになった。

 彼は画面を共有して、みんなが画面を見れるようになったところで、さあ、どこへいく?という話になったら、誰かが「三角屋敷に行こうよ」と言った。

 

 みんな愛知県の大学出身で、三角屋敷の噂はなんとなく知っていた。

 

 よし、ならば行ってみようか、と友人はGoogleに三角屋敷の住所を打ち込み、ストリートビューは三角屋敷を写した。

 

 と思いきや、そこは三角屋敷ではなく、ただの駐車場だった。

 ん?と思い調べたら、なんと三角屋敷は今では取り壊されており、駐車場になっていたのだ。

 なんだ、ただの駐車場かよ。

 と思った瞬間、通話アプリが処理落ちした。

 

 そんなことは、そのアプリを使っていてはじめての経験だった。

 ほんの少し焦ってすぐに繋ぎ直すと、難なく繋がった。

 なぜか一時期的に通話がキャンセルされていたようで、全員の回線が途切れていたとのことだった。

 その場では、怖ー!とか言って盛り上がったのだが、あとあとになって考えると、

 もしかして、オンラインでも心霊は電波するんじゃないか?

 なんて思ってしまった。

 もしかしたら、オンラインでも幽霊のような存在はこちらが見ていることに気がついているのではないか。

 そして、彼らは液晶画面を通じて、我々のところにやってくるのではないか?

 

 そんなことを考えると怖くてたまらなくなった。幸い今のところ無事に過ごしている。

 

 もちろん、これらは全て俺の妄想である確率の方が高い。事実、その駐車場を日常的に使用されている人もいるのだし、三角屋敷はもうこの世にはないのだ。

 とはいえ、絶対に、たとえネット上であろうとも三角屋敷の跡地には近寄るまいと、俺は固く誓ったのであった。