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中島らもよ永遠に…

俺の永遠の師匠、俺の永遠の憧れ、

それが中島らもだ。

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中島らもは20年ほど前に活躍していた文筆家だ

 

らもさんは名門校の灘中に入るも、灘高に上がる頃にはすっかり落ちぶれてしまい、悪友達と空き教室で、酒とタバコに溺れてしまう。教師達は彼らを叱るでもなく、いないものとして扱うようになった。

大学は地方の美大に進むも、将来の不安からほとんど大学の時の事は覚えてないと言う。

ダラダラと過ごし、就活もせずに、就職先もないまま卒業しようとしていた頃、彼女が妊娠。親類のつてを頼りに営業マンになる。

そこで、バリバリに働きつづけていたが、会社の部長が事務の女の子に握りっ屁をして泣かしているところを見て、「この会社はダメだ」と会社を辞める。

 

そこから、フーテンのような生活を送る。

酒とドラッグと睡眠薬に溺れて行く。これはダメだと今度はコピーライターの学校に入ったり、一攫千金を目指してバンドを組んだりする。

広告代理店に再就職したらもさんはそこで才能を開花させ、数多の小説、エッセイを生み出して行くこととなる。

 

俺はらもさんのエッセイや小説が大好きだ。

どーしようもないほど人間臭さが文章から漂ってきて、それがどうしようもなく好きだ。

らもさんは躁鬱病を患っており、酒を飲んで無理やり気持ちを盛り上げて無理やり書いていたのだ。俺の好きな小説「こどもの一生」の後半は酒のせいで眼圧が上がりすぎて一時的に目が見えなくなってしまっていたために、後半は全て口頭で代筆してもらって書いていたのだ。

 

らもさんは酒に人生を狂わされ続けてきた。

らもさんの実体験が元になった「バンドオブナイト」「今夜すべてのバーで」でなどを読むと、どれだけこの人がめちゃくちゃな人だったかわかる。

 

らもさんのエッセイや小説はクスリと笑えて、たまに泣ける。

基本的にはギャグの人なんだけど、この人が時たま見せる真面目な話がとてもよい。

 

一冊、俺の好きなエッセイを紹介する。

・僕に踏まれた町と僕が踏まれた町

 

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らもさんの高校時代から大学時代までの体験を綴ったエッセイだ。

前半は高校時代の馬鹿話が続くが、大学に入ったあたりから妙に暗くなってくる。

特に記憶に残っているのが、友人が自殺した時の話だ。

彼は、手首を切り、ガスを開けて、死んだ。覚悟の自殺だった。

その時のことを振り返りらもさんはこう綴っている。

 

ただ、こうして生きてみるとわかるのだが、めったにはない、何十年に一回くらいしかないかもしれないが、「生きていてよかった」と思う夜がある。

一度でもそういうことがあれば、その思いだけあれば、あとはゴミクズみたいな日々であっても生きていける。

 

この言葉に俺は何度も何度も救われた。

 

 

らもさんは2004年にお酒に酔って、階段から転げ落ちて死んだ。

いつか、酒に殺されると言っていたらもさんらしい死に方であった。

 

生きていてよかった。そんな夜があと何度やってくるのだろうか?