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高校2年のクリスマスに俺と藤田は泣いた

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昨日、町へ出てみれば、11月も始まったばかりなのに、クリスマスの飾り付けをしているお店をチラホラ見かけた。

気の早い話である。そもそも我が国日本は仏教国ではなかろうか?なにゆえ、外国のおっちゃんの誕生日を祝わにゃならんのだ。

 

俺はクリスマスが嫌いだ。子供の頃はケーキも食べれて、オモチャも貰えて大好きなイベントだったのに、大きくなるとクリスマスはリア充どもが騒いでいる日くらいの認識になってしまった。

まんまとクリスマス商戦に乗せられて、この馬鹿どもが!!!と毒づいていた。

毒づいた結果、俺と俺の親友の藤田は高校2年のクリスマスの日に泣くこととなったのだ。

 

 

「クリスマスなんてクソだ。俺の手でぶっ壊してやる」

 

高校2年のクリスマスの日、

俺は電話口で毒づいていた。

 

「壊すって何するん?」

 

藤田は俺に聞いた。藤田とは保育園からの付き合いだ。同じ幼稚園、小学校、中学校、高校に通っている昔からの友達で親友だった。

高校の人間全員皆殺しにしたかった俺だが、藤田は見逃してやってもいい。そう思うほどに俺は藤田の事を信頼していた。

 

俺はしばらく考えた後にこう言った。

 

「エロ本買いに行こう」

 

今思い返しても意味不明な回答だ。

エロ本を買うこととクリスマスをぶっ壊すことにどんな因果関係があるというのか。

でも、当時はクリスマスに浮かれるリア充どもを尻目にエロ本を買いに行くことは超クールなことだと思った。

 

俺たちは家の近くの公園で待ち合わせをして、エロ本を買いに行った。藤田はしぶしぶついてきてくれた。

ウチは三重のど田舎だから、最寄りのコンビニまで行くのに、自転車で十数分かかる距離にあった。

俺たちが公園を出発した時、空からシトシトと雪が降り始めていた。

 

数分もしないうちに雪は猛吹雪になっていた。

俺も藤田も全身ずぶ濡れで顔は雪と鼻水でぐちゃぐちゃになってしまった。

後ろを見ると藤田がいなかった。

よく見ると、遥か後方で自転車の側で屈んでなにかをしている。

 

「大丈夫か!!!藤田!!!」

 

俺はすぐさま藤田に駆け寄った。大声を出さないと自分の声もかき消されそうになるほど、吹雪は強くなっていた。

 

「自転車のチェーンが外れた!!!」

 

藤田はチェーンを直そうと奮闘しているが、寒さでかじかんだ手では上手くチェーンをはめることはできなさそうだった。

 

吹雪はますます強さを増しているように感じた。このまま、藤田の側で彼が自転車を直すのを見守るのも良いかもしれない。俺が風除けになっていることで幾分か藤田は作業がしやすそうだった。

しかし、彼を待つという選択は非効率的ではなかろうか?俺が急いでエロ本を買ってきて、その間藤田はチェーンを直す。これが一番時間がかからず効率的なやり方ではないか?

 

そう思った。

「すまん、俺、エロ本買ってくるわ!」

俺は、藤田を残してエロ本を買いに行った。

後ろから藤田が

「え!?」

と言ったような気がしたが、そんなものを気にはしていられなかった。この選択は2人のためなのだ。

 

俺は全力で走り、近くのファミマに入店した。

普段の俺ならエロ本を買うなんてこと、恥ずかしくてモジモジしていたかもしれない。

でもこの日は違った。俺は一目散にエロ本コーナーに行き、一番エロそうな本を選んだ。

今でも覚えている。俺が選んだ本は「ピザッツ」だった。

 

レジを済ませ、藤田のところに行く俺はさながら、セリヌンティウスのために走るメロスのようだった。この場合、エロスと言った方がいいかもしれないが。

 

走っている時に雪が目に入って俺は少し泣いた。涙が風で冷やされて余計に涙が出てきた。

 

道の途中に藤田がいた。

おい〜…」

藤田は濡れネズミのように全身ぐちょぐちょだった。

藤田は寒さで涙目だった。

「すまんすまん」

俺は藤田に謝り、一緒に自転車を直した。

自転車は数分後無事直った。その時にはもう吹雪は収まり、雪が静かにふるだけだった。

俺たちは自販機であったかい缶コーヒーを買って飲みながら帰った。

 

俺はその後、彼女と一緒にクリスマスを過ごしたことも、友人とクリスマスパーティーをしてプレゼントを交換したりもして、何だかんだクリスマスを満喫することになる。

でも、あの日、俺と藤田が泣いたクリスマスのことを俺は未だに忘れられないのであった。